戦略的レジリエンスは、単なる サプライチェーンの問題ではない

strategic resilience

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高市早苗首相率いる日本政府は、AI、半導体、量子技術、造船、防衛など、17の優先分野を長期的な重点投資対象として指定した。日本が「資本主義的計画経済」と称された1980年代の「ジャパン・インク」を彷彿とさせる動きだ。

しかし、かつての通産省主導の産業政策が目指したものと、高市政権の政策が目指すものは同じではない。かつては、比較的安定した地政学的環境とルールに基づく国際貿易秩序のもとで、輸出主導の成長と産業発展を追求した。今日はそれが一変した。世界はより不安定になり、アメリカの力とその信頼性は低下し、多極化する地政学が台頭し、日本の戦後繁栄を支えてきたルールに基づく国際貿易秩序は崩壊しつつある。

日本政府が実際に行おうとしていることは、(政策立案者がそれを完全に自覚しているかどうかはともかく)国家経済に戦略的レジリエンスを組み込もうとする試みだ。成長でも、輸出覇権でもない。レジリエンス、すなわち誰も予測しなかった衝撃を吸収し、機能し続け、適応する能力だ。

そしてこれは、日本のすべてのビジネスリーダーが今まさに問うべき問いを提起している。政府の政策についてではなく、自分自身の組織についての問いだ。

あなたの戦略は、本当にレジリエントと言えるか。

衝撃は現実のものだった

日本は、立て続けに複合的な混乱に見舞われてきた。新型コロナウイルスは、冗長性よりも効率を優先して構築されたサプライチェーンを崩壊させた。米中技術戦争は、企業にどちらかの陣営を選ぶことを迫った。円安は購買力を侵食し、輸入依存型のビジネスを追い詰めた。そして金利は、一世代ぶりに上昇局面を迎えている。

これらのどれも、精度をもって予測されてはいなかった。どれも、ほとんどの企業の5ヵ年計画には登場していなかった。そして、どれもまだ終わっていない。

日本政府の対応(戦略的分野の保護、複数年度予算の保証、産業政策と国家安全保障の整合)は、経済レベルでレジリエンスを制度化しようとする試みだ。そのアプローチに賛同するかどうかはともかく、根底にある診断は正しい。

安定した世界において効率を最適化することは合理的だ。しかし、その世界はもうない。

誰も検討しなかった仮定

日本の企業戦略の多く、そして私が世界で目にする戦略の多くには、不都合な真実がある。誰も書き留めていない前提の上に構築されているのだ。

拙著『Strategy on Your Own Terms(自分の条件で戦略を描け)』でも述べたことだが、現在の環境がかつてなく切迫していることを踏まえ、改めてここで繰り返したい。

前提の明示なき戦略に、大きな意味はない。製造業の戦略であれば、サプライチェーン、エネルギーコスト、為替レート、競合動向、規制環境に関する前提に基づかなければならない。そのどれもが崩れる可能性がある。戦略の時間軸が長ければ長いほど、ある前提が外れる可能性は高まる。

にもかかわらず、私は戦略文書の中に前提の明示を見ることがほとんどない。代わりに目にするのは、なぜその戦略が正しいかの正当化と、戦術の羅列だ。それは計画だ。戦略ではない。

この区別は今まさに、きわめて重要だ。計画とは、すべてが想定通りに進んだ場合に何をすべきかを示すものだ。戦略とは、そうならなかった場合にどう考え、どう行動するかを示すものだ。

日本の企業(日本企業であれ、外資系企業の日本法人であれ)は圧倒的に、環境安定性という前提の上に戦略を構築してきた。サプライチェーンは開かれ続ける、エネルギーは確保できる、円は許容範囲内で推移する、ルールに基づく貿易秩序は維持される、という前提だ。それらの前提が崩れた。しかも、複数が同時に。

現在の混乱を最もうまく乗り越えている企業は、必ずしも最良のサプライチェーン基盤を持つ企業ではない。最も重要な前提が外れたとしたら、という問いをリーダーがすでに立て、対応策を準備していた企業だ。

レジリエントな戦略とは実際どのようなものか

戦略的レジリエンスとは、書き上げる計画ではない。組織の人々が戦略について考えるあらゆる段階に、実践として組み込まれるものだ。

拙著『Strategy on Your Own Terms』の中で、私はプレッシャーの下でも崩れない戦略と、現実と最初に接触した瞬間に崩壊する戦略を区別する、4つの実践を述べている。いずれも今、切実に重要だ。

レッドチーミング。 少なくとも一つの社内チームが、競合他社として定期的に自社を攻撃する演習を行う。戦略への過度の熱狂と、ポジティブシンキングやコンセンサスへの固執は、予見可能な脅威を見落とすことにつながりかねない。コダックとフジフイルムのどちらも、フィルムの急速な消滅をもっと早く予見できなかった理由はない。自社を外部から潰す前に、内部で潰し方を考えるチームが必要だ。

前提の継続的なモニタリング。 戦略レビューには、KPIの進捗確認だけでなく、根底にある前提の再評価を含めるべきだ。最初は正しかった前提が、後になって外れることもある。私が知っているある日本の化学メーカーは、「顧客は日本品質の製品をより安く求めている」という前提のもと、東南アジアの工場に9桁ドルを投資した。ところが顧客が求めていたのは、「十分な品質をさらに安く」だった。市場に出るまで、あらゆる戦略レビューでKPIはグリーンを示し続けた。ここに一つの公理がある。戦略は、市場との最初の接触を生き延びることができない。

成長のための余白をつくること。 レジリエンスには、切り捨てる意志が必要だ。失敗しているものだけでなく、たとえ収益を上げていても、戦略を前進させなくなったものを切る意志だ。混乱を最もうまく乗り越えた企業は、リーダーがすでに「この事業は本質的に何のためにあるのか、何のためにないのか」について困難な決断を下していた企業だ。その明確さが、環境が決断を迫った時に素早い行動を可能にする。

意図的な破壊。 自社の市場を自ら破壊しつつある企業は、静的なポジションを守ろうとする企業に比べて、はるかに不安定化しにくい。未来を自分で作っているなら、自分が作らなかった未来に対して脆弱ではいられない。

日本という文脈

日本では、リスクを名指しし前提を浮かび上がらせることへの規範的な圧力が、特に強い。シニアリーダーが戦略を提示する場で、うまくいかないかもしれないことを指摘するための社会的コストは高い。懸念は口に出されないまま残る。角は丸められる。コンセンサスのプロセスから生まれるのは、望ましいものの最も大胆なビジョンを、うまくいかないかもしれないことへの最も誠実な評価と突き合わせたものではなく、達成可能なことについての中央値(私なら「凡庸」と呼ぶ)を反映した文書だ。

前提とそれに伴うリスクを明示的に名指しすることは、そのダイナミクスを変える。リーダーがすでにリスクの存在を認めているのだから、懸念を提起するための正当な場が生まれる。また、「この前提が外れた場合の対応策は何か」という問いがテーブルの上にある状況で、それらの懸念を「しかたがない。ここは日本だから」と退けることも難しくなる。

私が知る日本で最もレジリエントなリーダーたちは、前提への問いを、異議申し立ての行為ではなく、戦略プロセスの必須ステップにしてきた。その結果生まれるコンセンサスは真に獲得されたものだ。最初の前提が崩れるまでしか保たないコンセンサスではなく。

あなたのビジネスへの問い

高市政権は、国家的なレジリエンスの問題を正確に診断し、自らが動かせるスケールで対応している。ビジネスリーダーであるあなたには、17の優先分野を指定し、通常の予算ルールから免除する選択肢はない。あなたが持っているのは、自分の組織、自分の戦略、そして自分がどう考え、どう決断するかに組み込む実践だ。

ゆえに、より安定した世界を前提に構築された戦略を持つすべてのリーダーに、私がいつも投げかける問いをここに示す。

今あなたのビジネスを導いている戦略を手に取ってほしい。 それが依拠する3つか4つの前提を言えるだろうか。 それはどこかに書き留められているか。 誰がそれをモニタリングしているか。 そして、最も重要な前提が明日にでも外れたとしたら、あなたの対応策は何か。

これらの問いに答えられないなら、あなたはレジリエントな戦略を持っていない。世界が協力してくれることを前提にした計画を持っているだけだ。

世界は協力していない。それは麻痺する理由ではない。それこそが、戦略がかつてなく重要である理由であり、想定通りにいかなくても崩れないよう構築されなければならない理由だ。

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