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先週、ザ・ペニンシュラ東京にてCEOラウンドテーブルを開催し、私の著書"Dauntless Leadership"の中でも特に挑発的とも取られるようなトピックについて話し合う機会を頂いた。多くのリーダーシップ講演は、拍手とすぐに忘れ去られるような配布資料で終わってしまいがちだが、今回は違った。参加してくださった17人のCEOたちが、人事制度、カルロス・ゴーン、そして日本はスピード感を持って革新できるのかになどについて価値のある議論をすることができた。
以下は、このラウンドテーブルにて実際に議論された内容である。
講演:8つのステートメント、1つの規律
不屈のリーダーシップは、性格的特性ではない。それは、すでに分かっていることを行動に移す規律だ。最適な瞬間を待つことなく、賛同を待つことなく、すでに与えられている許可を待つことなく。講演でシェアさせて頂いた8つの挑発的命題は以下の通りである。
ステートメント 1
「あなたは好かれるためにそこにいるのではない。好かれやすい方である可能性は高かろうとは思われるが。」
- 好かれることは問題ではない。しかし好かれる必要があると思っているならば、それは致命的だ。人気を保つために難しい決断を先延ばしにするマネージャーは、結局誰からも好かれなくなる。優秀な人材は去り、劣った人材だけが居心地よく残る。あなたはそこに結果を出すためにいることを忘れてはならない。それ以外はあとから付いてくるものだ。
ステートメント 2
「賛同は任意。プロフェッショナリズムは必須。」
- 全員一致の賛同を待つことは、決して来ないかもしれないものを待つことだ。プロフェッショナルは、完全には納得していない決定でも実行する。それが仕事だ。決定に反対しながらも支える専門性を持たない者は無視せよ。賛同するなら、彼ら自身のタイミングで賛同させればいい。
ステートメント 3
「オーナーシップは与えられない。オーナーシップは自ら取るもの。」
- 誰かにオーナーシップを与えることは、誰かに意志を与えることと同じくらい不可能だ。見分け方はこうだ。本当のオーナーシップを持つマネージャーは、自分自身が何をしているかを語る。持たないマネージャーは、まず誰か他の人が変わるべきだと語る。不満の内容そのものは問題ではない。その姿勢こそが問題だ。
ステートメント 4
「人を動機づけることはできない。人は自ら動機づけるしかない。」
- やる気のない人を動機づけようとするのはやめよう。邪魔をせず、道を示し、そして手放す。彼らのモチベーションの欠如はあなたの責任ではない。しかし、自ら動機づける人々を支えることは、あなたの責任だ。あなたの力をそこに注げ。
ステートメント 5
「あなたには間違いを犯す権利がある。」
- 先延ばしにされた決断も、決断には変わりない。そして、それが最適であることは稀だ。優れた判断には必ず反対者がいる。彼らの声に耳を傾け、それでも決断せよ。責任を負うのはあなたであり、部下ではない。それが仕事であり、何よりもあなたの権利だ。
ステートメント 6
「一度も失敗したことのない人間とは、一度も学んだことのない人間である。」
- ある人事部長へ採用面接の際の心得として言ったことであるが、「安全な」答えと思われる「一度も失敗していない方を採用する」というやり方は間違っている。成功への道における失敗は正常であり、失格の理由にはならない。同じくらい重要なのがその逆だ。失敗することに対してだけでなく、行動しないことにも責任を負わせよ。
ステートメント 7
「対立を制度化せよ。」
- 健全な組織は調和の中には存在しない。建設的な不調和こそが理想の状態だ。対立を提起し、それを放っておくのではなく、合意されたプロセスを通じて解決せよ。責任を相手に押し付けず、影響だけを語れ。コミットメントは公にせよ。調和を捨てよ。それは見せかけにすぎないものなのだから。
ステートメント 8
「誰もあなたを狙撃したりしていない。」
- ビジネスにおいて、本当に生死を分ける危機に直面したことのある人はほとんどいない。それでも多くのマネージャーは、まるで誰かに狙われているかのように日々を生きている。常態化した躊躇は学びを阻害する。大胆に行動せよ。あなたの部下にも同じことを教えよ。
まとめ:この場への締めの言葉:不屈のリーダーシップは性格的特性ではない。それは規律だ。オーナーシップ、大胆さ、アカウンタビリティ、そして同じことができる次世代のリーダー層。先延ばしにしてきたことを一つ選べ。待つな。行動せよ。
ディスカッション:参加者たちが反応した内容
講演の後、その内容にに関するディスカッションが行われた。中でも5つの点についての議論がヒートアップした。
1.人事制度は、先延ばしにされたリーダーシップの問題すべてを象徴する
- この場にいた誰もが、人事が助けというより障害になっているという認識に説得を必要としなかった。ある参加者はそれを「古臭い」と呼んだ。四十年前の設計のまま機能し、その重圧をリーダーたちが引き受けている、と。
- より鋭い指摘が別の参加者から上がり、参加者の間で同意を得た。問題は人事そのものではなく、人事が自らを定義することを許すリーダーシップにある。営業部長に求めるのと同じように、人事部長にも事業上の成果を求めよ。そうすれば「人事は古い」という議論は消える。あなたが条件を決める立場になるからだ。
- 最も印象的なエピソードは、ある人事部長が、私に営業部長のコーチングを依頼してきたが、そのコーチングが生み出すべき事業上の成果を答えられなかったというものである。これは人事の失敗ではない。人事に使命を与えなかったリーダーシップの失敗だ。
2.「不屈」は日本の現実に耐えられるか
- 最も強い異論はこうだった。日本は根回し(私的な合意形成を、公の議論より前に行うこと)と中間層主導の合意形成で動いている。トップダウンの大胆さでは動かない。下位層の賛同を得ずに大胆な方針を押し通せば、組織は静かに抵抗する。速度を落とし、停滞し、決定された階層の一段下で、その案を静かに葬り去る。
- それに対する反論は、日本での直接の経験のある参加者から出された。改善と不屈は対立しない。会場の何人かは、保守的な日本企業が明確に大胆な変革を進めている例を挙げた。リーダーシップがそれを意図すれば、両者は共存する証拠だ。
- より誠実な答えは、その間を取るものだった。日本でも変化は起こる。しかし他の市場より二倍から三倍長くかかることがある。文化の壁というより、文化的なコストだ。より深い診断はこうだ。変革を実行することを期待される人々が、その意思決定に関わらせてもらえなかったときに、消極的抵抗が現れる。
- 最も重要だった再定義はこのようなものだ。我々は日本文化を変える力をほとんど持っていない。しかし、それとは大きく異なる自社の企業文化を築く力は十分に持っている。ファーストリテイリング、ソフトバンク、そしてアメリカにおけるグーグルとシアーズの対比。同じ国や競争環境の中にあっても、リーダーが意図的にトップから設計した、まったく異なる企業文化が存在する。環境から受け継いだものではない。
3.異端者であろうとなかろうと、それはあなたの選択だ
- 孫正義氏や柳井正氏を、日本でも大胆さが機能する証拠として挙げたところ、当然の異論が出た。彼らは数万社の日本企業の中の異端者にすぎない、と。
- それはその通りだが、無関係でもある。優れたリーダーと優れた企業は、定義上の異端者である。それこそが卓越性というものだ。分布の真ん中にいることは恥ではない。多くの中堅企業は七十年、八十年、九十年と存続し、実際の価値を生み出してきた。だが「真ん中」も「異端者」も、あなたへの評決ではない。それはあなたが下す選択だ。
4.プロセスは状況に応じて変わる。原則は変わらない。
- 繰り返し現れた緊張関係。ある市場、ある企業規模、ある所有構造で機能するフレームワークは、別の場所にそのまま移植できない。調整(キャリブレーション)が重要だ。三千人規模の組織と五十五人のチームが、同じ手順で動くわけではない。
- この日の議論で最も重要だったかと思われる結論はこうだ。プロセスは状況に応じて柔軟であるべきだが、原則は不変である。例えば「対立の制度化」というフレームワークも、企業や文化によって実行のされ方は変わる。しかし、その根底にある原則はどんな構成でも変わらない。プロセスについて議論するのはやめよ。まず原則について一致させよ。
- 言葉についても触れられた。「失敗」のように重い言葉さえ、文化によって持つ重みが異なる。表現を変えても、同じ考えは原則に資する。
5.道徳的損傷:時間が足りなかった議論
- イベントの後半に出た余談、と言っても重要なディスカッションでは、道徳的損傷と単なる燃え尽き症候群とを区別した。それは疲労ではなく、リーダーがコミットした後に発見する、自分が引き受けたはずの役割と実際に担う役割が違うという裏切りから生まれる傷だ。その組織的な裏切りは、過重労働よりも深く傷つける。
- それは軍隊と同じく、企業でも見受けられる。純粋に財務上の理由で千人の人員削減を命じられる幹部。自分の本当の使命が、自分自身の仕事を自動化によって不要にすることだったと知る社員など。
- 参加者はこれを、半分冗談、半分本気で、リーダーシップという職務記述書そのものに組み込まれたものであると指摘した。まさにそれゆえに、これ単独で一つのセッションに値するテーマだ。今後のラウンドテーブルでも取り扱いたいと考えている。
結論
細部を取り除けば、この場のすべての議論を貫く1つのテーマが見えてくる。リーダーに不足しているのは、優れたフレームワークではない。すでに持っているものを実行する意志である。人事の使命、日本のスピード、自分が分布のどこに位置するか、どのプロセスを運用すべきか。そのすべてが、あなただけが下せる決断の先にある。
先延ばしにしてきたことを一つ選べ。待つな。行動せよ。
Steve’s New Book: Dauntless Leadership