Business people shaking hands and building relationships

本当に優秀な社員は人間関係を築く

できる社員というのは顧客への対応をしっかり行います。その中でも特に素晴らしい社員となると、人間関係を築くためのやり方を創り出します。優れた顧客サービスが当たり前とされているこの世の中で大切になってくるのは、顧客との人間関係なのです。

つい先日パリ行きの日本航空ファーストクラスに乗る機会がありました。通常は、搭乗員は私に笑顔で”Welcome abord!”と英語で挨拶してくれるのですが、今回は違っていました。日本語で挨拶されたのです。

「ブライスタイン様、お待ちしておりました。」と、彼女はあたかも知り合いであるかのように話しかけてきてくれました。どういうわけか私が日本語が喋れることも知っていたようで、その後も日本語で会話を続けたのです。

私は日本航空のファーストクラスはしばしば利用しますので、フライトアテンダントに顔を覚えてもらっていることもあります。でも、このアテンダントには過去に会った覚えはありませんでした。しばらくしてから、私は彼女に何故私が日本語が喋れるとわかったのか聞いてみました。

「ファーストクラスのお客様皆様の乗客名簿は必ずチェックし、もし会社の名前もわかる場合には、インターネットで調べることにしています。ファーストクラスの方々の殆どはかなりの情報が見つかる場合が多いので、ご搭乗になられる前に皆さんのことを少しは勉強させて頂けます。」

顧客のことを前もって調べるというのは航空会社の規則ではありませんが、顧客との人間関係を築くというのは多分大切なこととされていると思います。そしてこの搭乗員は自分独特のそのやり方を創りだしたのです。彼女はファーストクラスの乗客一人一人が全て大切な人であるという考えに基づいて対応していました。このような経験をさせてもらったら、この次のフライトも日本航空を選びたくなるのは当然です。

日本航空のファーストクラスのチーフに昇進する為に何が必要なのかは知りませんが、私はこの乗務員がその候補となっているべきだと思います。

そしてパリでの滞在中、マレ地区のビストロでコーヒーを飲んでいた時のことです。私はバリスタがエスプレッソを作るのを眺めていました。どのお客さん用に作っているかわからなかったので、多分自分の為に作っているのだろう、などと思っていました。その時ビストロに老年の紳士がやってきてカウンターに近づきました。そして彼が「ボンジュール!」と言うや否や、バリスタは作りたてのエスプレッソを彼の前に差し出したのです。

「これは何だね。他のお客さんのために作っていたコーヒーじゃないのか。」と彼はバリスタにフランス語で尋ねました。「あなたのためのエスプレッソですよ。窓の向こうにあなたがこちらの方に向かって歩いている姿が見えたので、間も無くここにいらっしゃると思ったのです。」

このバリスタがどの位の給料を貰っているかは見当もつきませんが、私の予想では、十分な額ではないのではないかと思います。この老紳士はこの先、朝のコーヒーを飲むのに、よそのビストロに行ったりすることはないでしょう。

日本では、直接顧客に対応するスタッフは、素晴らしいサービスを提供しますが、その大部分はプロセスによって達成できるものです。しかし、人間関係の構築となると、共感、イノベーション、判断力、状況に応じた行動力といったものが必要とされます。抜きん出て素晴らしい社員には、そういった能力があるのです。

ですのでここのところを間違えないでいただきたく思います。 できる社員は顧客を満足させます。しかし本当に優秀な社員だけが、顧客をリピーターにすることができるのです。 Share on X あなたの会社では、社員が実際にどのようなサービスを行っているのか、そして誰が本当に優秀な社員なのか、ご存知ですか。

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