私がビジネスパーソンのコーチングをする際にまず訊ねるのは、彼らが楽しんでいるかどうかということです。その答えによって、様々なことが見えてくるからです。
先日の土曜日、息子が彼の高校で行われるディベートの準備をするために、同級生たちを家に招きました。私は子供たちのためにピザを注文し、一緒にランチを食べていたのですが、その時、一人の男の子が必須の第二外国語にフランス語を選んだと話し始めました。
生涯ずっとフランスに魅了されている私は。興味をそそられました。私はフランス語も、フランスの人々、芸術、文学、料理、映画、音楽、フランス全土、とにかく全てが大好きなのです。そこで彼にフランス語を学ぼうと思ったきっかけを聞いてみました。
「単純に単位を取るためだよ。日本語は難しいから、もっと簡単なものを選んだんだ。」
彼は、賢く、フレンドリーで、創造力もある少年です。彼と私の息子は一緒にロックバンドもやっています。でも、彼がフランス語を取った動機を話してくれたとき、私は心の中でため息をつきました。
その時、一人の女の子が口を開きました。
「私はスペイン語を選んだの。」
「どうしてスペイン語?」と私は尋ねました。
「世界にはスペイン語を話す人がたくさんいるから。」彼女はおずおずと話し始めました。
少し考えた後、彼女は目をキラキラさせて、一瞬、イタズラっぽい微笑みを浮かべてからこう言いました。
「それにスペインのサッカー選手って、すっごくキュートなのよ!」
そしてこう続けたのです。「スペイン人のサッカー選手のボーイフレンドが欲しいな!」
私は思わず笑いながら、「リオネル・メッシをどう思う?」と聞いてみました。
「スペイン人じゃないけど、スペイン語を話すし、かわいいわ。(メッシはアルゼンチンのサッカー選手)でも、彼は35歳でもう結婚しちゃっているのよ」と彼女はため息をつきました。
「え?ひょっとして彼らのこと、全て知っているの?」と 私は冗談めかして尋ねました。
「もちろん!」という素直な返事をした彼女は、ノートパソコンを取り出し始めました。
「いやいや、見せてくれなくても大丈夫だよ!」彼女が何を私に見せようとしたのかはわかりませんが、私は慌てて遮りました。
そして代わりに、「スペイン語で何か話してみてくれないかな。」と私は頼みました。彼女は素直に、シンプルなスペイン語で少し喋ってくれました。4ヶ月勉強しただけにしてはなかなかのものでした。
私はそこで、フランス語を選択した少年に向き直って聞きました。
「君はどうだい?フランス語で何か言ってみてくれるかな。」
「フランス語は話したことがないよ。」と彼はあっけらかんと答えました。「スピーキングは試験には必要ないんだ。」
私は再び心の中でため息をつきました。
そして「君、本当に損をしているよ!」と彼を諭しました。
私は少女に向き直り、「君は必ずスペイン語をマスターするよ。」励ましました。彼女は顔をほころばせました。
続いて私は少年に向かってこう言いました。「フランス語の勉強は日本語より簡単でも難しくもないんだよ。」
彼は眉をひそめてこう聞きました。
「あの子はスペイン語をマスターするけど、僕にはフランス語が日本語と同じくらい難しいだろうなんて思うの?
「彼女は楽しんでいるからだよ。」私は指摘しました。
「だからどういうこと?フランス人の女の子と知り合うために、フランス語を話せるようになれって言ってるの?」
「もちろん!」と私は答えました。「それほどフランス語を習うモチベーションになる理由はないからね。」
「大体、私が10代の頃にフランス語を学ぶことを選んだのはなぜだと思う?」私はちょっとドラマチックに尋ね、こう続けました。
「ヒントをあげようか。試験で合格点を取りたかったからではないよ。」
仕事であれ、ビジネスであれ、人生であれ、何事においても成功したければ、楽しむことは重要です。
成績のため、お金のため、他人から認めてもらうため、といった理由だけでは、必ずや訪れる困難や苦難、挫折を乗り越えることはできないのです。
人生は、楽しまないで過ごしてしまうには、短すぎます。
ですから、あなたにも尋ねさせて下さい。あなたは楽しんでいますか?
自分に正直になってください。あなたの答えからも、想像以上に様々なことが見えてくるかもしれません。