2024年11月25日、私はフランス、ドイツ、カナダ、オーストラリア・ニュージーランド商工会議所共催のイベントで、ポルシェジャパンのフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフ氏とのステージ上での対談を行う機会に恵まれました。以下は、その対談から得た主なポイントです。
- 日本で劇的な変化をリードする際には、初めの段階での受動的な同意だけで終わらせるのではなく、その後も継続的な対話を通じてコミットメントを引き出す必要がある。双方が相手の言うことにしっかり耳を貸すべきだ。そして粘り強さが鍵となる。
- 劇的な変化を起こすには、人々の不安を取り除くことが不可欠。何より説得力があるのは、実際の成功例だ。成功や成長を見せることで、不安は自然と薄れていくものである。
- 人にはシンプルに事実を伝えること。感情は移ろいやすく、時に高ぶることもあるが、動かしがたい事実は人を落ち着かせ、納得させる。これは日本においても同様である。
- 成功するためには、どの国や文化においても、自分たちが販売するものに対する信頼が不可欠。提案する価値を信じることなくマニュアル通りに話しても、営業トレーニングの量に関わらず失敗する。
- 過去の世代では、車を運転することが若者にとって個人の自由の象徴だった。しかし、現在の若者にとっての自由の象徴の対象は他のものに移っている。彼らに興味を持ってもらいたいのなら、その「別のもの」を見つけることが大切だ。
- 車がステータスシンボルだったのは、もう過去の話である。
- 中国の電気自動車メーカーは、技術、IT統合、価格の面で、他のグローバルメーカーにとって手ごわい競争相手となっている。中国以外での市場シェアはまだわずかだが、急速に拡大している。しかし彼らの海外市場でのブランド力は弱く、それが弱点と言える。
- スタッフは、誰でも会社に貢献できる貴重な能力を持っている。それは彼らの役職に関わるものもあれば、それ以外のものもあるだろう。優れたリーダーは、個々の強みを活用する方法を知っている。
- 売上と利益を急速に成長させるための鍵は、製品の変更よりも、プロセスの改善にあることが多々ある。
- 市場の変化が続く中、それでも一般的なエンジンが早急に無くなってしまうことはないだろう。エンジン車を愛し、長年所有したいと考える人々はかなり多く存在し、そういった人々の需要に応えようとする産業が自然に育っていくだろうと思われる。
- 関税は一時的に混乱をもたらす可能性があるが、それは最終的には勝ち目のない手段である。市場の力があまりにも強いため、メーカーは変化に順応し、乗り越えるであろう。