succession planning

常に次世代リーダーを準備しておくために大切なこと

私が存じ上げている日本でCEOとして活躍されている方々には、自分の継承者をどうするかという話になると、とにかく良い選択肢がないように感じられている人が多いようです。しかしそのような状況は仕方ないと諦める必要はありません。

ここで私が言う良い選択肢がないとはどういうことか、まず説明しましょう。

それはCEOの社内のリーダーの後継者として考えられる人々には多くの優秀な業績を挙げている社員はいても、文句なしに後継者としての条件を満たしているような人材がいない状況を指します。数多くの人材から特に秀でている人をリーダーとして選び、その人がリーダーとして目覚めてくれることを期待するというやり方もありますが、その候補者によっては、いくら周りがサポートしたとしても、これはリスクが高いものと言えるでしょう。

社外の人材を探すという方法を使った場合は、とにかく時間がかかりますし、その結果も未知数です。私の知る某企業では、条件を満たした候補者を探すだけで1年以上かかった上、結局その候補者も途中で心変わりをして他の仕事を選んでしまいました。それにより現職のCEOが自分のポジションを空にできずに身動きができなくなってしまう、或いは会社のリーダーがいなくなったりリーダーシップが欠如してしまうという状況となったのです。

グローバルな会社であれば、日本を含んだいくつかの国々のビジネスを管理している地域担当のCEOなどといった社内の優秀な人材を、仮のCEOとして日本も担当してもらうことも考えられるでしょう。しかし地域担当のCEOも日本のCEOもそれぞれフルタイムの仕事です。私の経験から言うと、地域担当のCEOの方々には自分の仕事をこなすことも、仮のCEOの役目を果たすこともできる方が多くいらっしゃいます。しかし同時に両方の役をこなすこととなると話は違います。大体の場合はどちらかの役割は十分に果たされず、両方をしっかり果たそうとすると、どちらについてもある程度妥協してしまうこととなります。

早く後継者を決定することを重要視して選択の基準を低くし、うまく行くことを願うというやり方もあります。しかし私の経験上、リーダーのいないビジネスよりもひどい状態を招くことができるのは、凡庸なリーダーを据えた時のみです。

私の経験上、凡庸なリーダーに率いられたビジネスは、リーダーのいないビジネスよりもひどい状態を招く。 Share on X

外部から有能なCEOを招いたり、グローバル会社において関連会社の国際ビジネスに関わっている役員に日本の駐在CEOとして指名する場合でも、隠れたコストが発生することがあります。私の知っているあるヨーロッパ企業では、現地の上級~中級レベルのマネージャー達の間で、社内で出世する道がないという不満が噴出するという事態を招いてしまいました。

「トップのポジションは外部の人間や駐在員用に確保されているんです。」とある社員はこぼしていました。「会社内部の候補者はいつになっても条件を満たせないということなんです。」

あるマネージャーなどは、皮肉を込めて、もし社を辞めてから外部の人間として応募すれば、役員レベルの仕事に就く可能性が上がるだろう、と言いました。実際、優秀かつ野望をもった現地のマネージャーの中には、他社からのチャンスを掴むために会社を辞めてしまう人も多く、結果、社内ですでに不足している次世代リーダーの候補者がさらに減っていくという状況を生んでしまっています。

この良い選択肢がない、という状況から素早く抜け出す方法というのは存在しません。ヘリコプターによる早急な救助などは期待できないのです。これはあなた自身が自分の足を使って抜け出さなければならないものです。ただ、私から自分の道を切り拓き、この先また道に迷ってしまう状態を作り出さないためにどうすれば良いか、をアドバイスすることはできます。以下に、私が提唱する「常に次世代リーダーを準備しておくために大切な4つのこと」を記しますので、ご参考になさって下さい。

  1. 直属の部下の仕事の中に、何らかの形で自分の役割に含まれる仕事も入れる。(部下がその仕事を果たすための能力をまだ持っていない場合は特に。)成功している企業を見ると、そこでは中級〜上級レベルのマネージャーがまだ戦略的な考え方が仕事の一部とされるずっと前から、戦略作成、決定に参加させています。将来どこかの時点で戦略的思考は欠かせないもののなるのですから、いずれ少しずつ学んでくれるのを期待するのではなく、今から準備してもらう方がずっと良いのです。私の知人であるあるヨーロッパ企業の日本人役員は、日本支社のリーダー後継者候補として最終リストに残っていました。彼女は当時の役割は見事に果たしていましたが、本社の役員達は、彼女が戦略的に考える能力を十分備えているかどうか、懐疑的でした。彼女はビジネスをオペレーションの観点からのみ捉える傾向が強かったのです。戦略はいつも本社が独自に作っていました。つまり彼女が戦略に関しての討議や決定に関わることなど全然なかったのです。それにも関わらず、他の役員達は、彼女が戦略的な考え方をどうかして身につけることを期待していました。彼女に似たポジションにいる社員の中で、昇進するために必要な戦略的思考ができる人はどのくらいいるか聞いたところ、返ってきた答えは1割以下、というものでした。そのような状態に甘んじる必要はないのです。
  2. レベルに関わらず、どのリーダーも自分の部下のコーチであるべきであり、まずあなたからそれを実行すること。私がリーダーの方々にどのようにしてリーダーシップを学んだのかを聞いた時によく返ってくる返事は、尊敬する上司からアドバイスや教示、コーチングを受けた、というものです。私の経験から言っても、全てのレベルにおいて後継者を準備しておく一番手っ取り早い方法は、部下をコーチング、メンタリングすることを、会社のカルチャーの一部にしておくことです。まずはご自分の直属の部下にコーチングし、また、彼らがそのすぐ下の部下にもコーチングできるように教育することで、社員全てがコーチングを受けられるようにして下さい。すでにコーチとしての才能を備えている社員もいるかもしれませんが、殆どの人はそのやり方を学ばねばなりません。ですので、コーチングのやり方も教えられるようにしておきましょう。もしそのやり方がはっきりわからない、と感じていらっしゃる方は、私にご連絡頂ければアドバイスをさせて頂きます。
  3. レベルに関わらず、リーダーであれば誰でも、仕事第一日目から後継者達を育て始めるべきである。これもまずあなたから実行すること。リーダーシップ能力の開発に力を注ぐのに最適なタイミングは、差し迫った必要がまだない時です。後継者が必要となるのは何年も先のように感じられているかもしれませんが、その候補者への投資は今から始めましょう。理想的なのは、どのような時でも後継者候補が何人もいるような状態です。たった一人の候補者ではありません。また必要となればいつでもビジネスを引き継いでもらうだけの十分な信頼ができるような候補者です。後継者にビジネスを引き継いでもらう時は、今考えているより早く訪れることがしばしばあります。本社の役員が急に駐在員CEOを本社に戻したりもっと必要とされている部署に転勤させたりする可能性もありますし、あなたが何らかの理由で急に日本を去らなければならなくなることも考えられます。他の会社からとても魅力的な仕事をオファーされるかもしれませが、自分の後継者がいない状態では、そのようなチャンスを掴むことに気が引けてしまうかもしれません。どのような状況に陥るにせよ、その前に後継者を準備しておくことは役に立つはずです。直属の部下の能力を伸ばすことに投資すれば、彼らが現在の仕事をこなすことに役立ち、ビジネス上の業績をあげることであなたの手柄ともなりますし、あなたが関わらなければならない問題は減るでしょう。
  4. 部下がいない社員は、自分の仕事の一部として、何らかの形でリーダーシップを取ること。会社の一番下のレベルから後継者育成を始めれば、役員レベルの後継者候補が十分に育成されます。先に述べた通り、リーダーシップは訓練によって身につけられるものではありません。それはコーチングを必要とし、そのコーチングが効果を出すには、コーチングを受ける社員自身がリーダーとしてたとえ小さくともチームを率いていることが必要です。部下がいない社員の場合は、たとえ対して時間を取らないような短期間のプロジェクトでも良いので、チームのリーダーとなることが仕事の一部となるようにして下さい。リーダーシップの開発は早ければ早いほど良いと言えます。

上に挙げた重要点をまだ実行していないリーダーの方々には、すぐに着手して頂きたいと思います。良い選択肢がない状況に今陥っている方々も、まだそのような経験をされていない方々も。

日本にはリーダーの才能を備えた人材が足りないだけ、と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。日本には、リーダーシップ能力を持つ人が数多くいます。そして彼らは自分に投資してくれる企業で働きます。あなたもそのような企業であれるかどうかは、あなたにかかっているのです。

 

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Conversation with Danone Japan President Rodrigo Lima

Join us for an exclusive conversation with Rodrigo Lima, President of Danone Japan. I will interview him onstage to start a conversation, and then invite the audience to ask their own questions, providing ample time for you to ask yours. There will be no slides, speeches, or presentations—just provocative, unscripted conversation.

Date: Thursday, February 6, 2025
Time: 12:00
Location: L’Espace@CCIFJ (Nihonbashi-Honcho YS Building Chuo-ku, Nihombashi-Honcho 2-2-2, 103-0023, Tokyo)

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