改革を行う際には大抵、その背景を理解していても、そこに責任がしっかり伴っていなければ十分とは言えません。そのような状況では、リーダーであるあなたがスタッフがやるべき仕事までやらなければならない羽目に陥ってしまうでしょう。
ここで私が言う責任とは、変化をもたらすための正しい行為や素晴らしい結果は認められ、そうでなければペナルティーが課せられるということです。
責任に関する問題は社員の問題ではありません。それはリーダーシップが原因の問題です。私の知るあるCEOは、代理店を通しての販売から、顧客への直接販売にビジネスモデルを移行させることに取り組んでいます。これは良いアイディアですし、成功する確率もかなり高いと思われます。新しい方のビジネスモデルは、単に仲介業者を取り除くというだけのものではありません。その結果、販売する商品に伴う高価値のサービスや、柔軟、迅速なカスタマイゼーション、他に例を見ない特有で競争力の高いテクノロジーなどの提供もできるようになるのです。
このCEOは、リーダーシップチームに新しい戦略の利点を理解してもらおうと説明や説得を続けましたが、チームは懐疑的なままでした。彼らは耳を傾けてから、批判をし、この戦略が大惨事をもたらすかのような意見を述べました。基本的な部分は渋々賛同したのですが、いざ実行の段階になると、現在のやり方を変えることができない様々な言い訳を引き出してきて、なかなか前に進もうとしなかったのです。
CEOは再び説得にかかりましたが、また形だけの賛同、不実行、言い訳のサイクルが繰り返されただけで、結局のところ進展はありませんでした。なのに、誰もその責任を負うということもなかったのです。
スタッフが自分がCEOだとしたら下すと思われる決断は、あなたが今下す決断と同じであるとは限りませんし、それはそれで良いのです。あなたのスタッフの見解を考慮に入れるのは構いませんが、ビジネスの方向性を決めるのはあくまでもあなたです。例えあなたに賛成してくれなくとも、彼らがあなたの決定したことをサポートしてくれることを期待しても良いのです。彼らがいずれCEOになったら、その時には彼らが決断すれば良いのです。
責任を与えたからといって、それがサポートの代わりになるわけではありません。変革を行う時にはその理由を理解してもらえるようにあなたが手助けをするべきです。必要であれば、トレーニングやその他のサポートも与えることができます。金銭や時間、より多くの人員の雇用といった、追加リソースを供給することもできます。権威や責任に関して曖昧な部分をはっきりさせることもできます。矛盾する社内のプロセスを是正することもできます。
しかしどれだけ素晴らしいサポートを行っても、それが社員の態度を変えるのに十分であることは滅多にありません。彼らに責任を与えられるのはあなただけなのです。責任が伴わない変革は、白紙に戻ったも同然です。
責任が伴わない変革は、白紙に戻ったも同然である。 Share on X