confrontation

論争が行える環境を作ること

ビジネスにおいて社内の協力体制を改善するために、円満なコミュニケーションを促すのは間違っています。逆に論争が行えるような環境を整えておくことが大切です。

いつでも円満にいっている健全な組織など存在しません。建設的な不調和が存在するような状態が理想的なのです。どのような企業でも個人間、或いはグループ間に自然な葛藤のようなものは必ずありますし、意見の不一致を解決するためには論争を行うことが必要となります。

営業部は研究開発部にヒット商品を求めますが、研究開発部は売れようが売れまいがイノベーションの方を追求できる自由を欲しがりがちです。弁護士は手間と時間がかかったとしても法律上の問題を排除しようとし、その一方でビジネスマネージャーはというと、チャンスをモノにするためにの機敏性を求めています。また製造部門が予測できるものや一貫性を要求するのに対し、営業部やマーケティング部は顧客や市場に合わせた柔軟性やスピードを大切にするものです。このように対立はどのような時でも起こる訳です。

意見の不一致をそのままにして放っておくと、問題は深刻になるばかりで、同僚への恨みや不信感が生まれ、最終的には危機を作り出してしまいます。論争を行うことが殆ど、もしくは全然許されないような環境の企業では、各部門が孤立し始め、問題を解決する代わりに責任の擦りつけが行われ、社のビジネス戦略の目的までもに悪影響が出てきます。

そして部門間の対立は、マネージャー達によって解決される代わりに上層部へ報告され、CEOの関与が必要となることも頻繁にあります。あるCEOから聞いた話によると、彼の会社でも同様なことが起こっており、彼もCEOとしてビジネスを伸ばすために使うべき時間の多くを、そういった対立を解決することに使っているそうです。それが大きな時間の無駄だというのは言うまでもありません。対立を回避しようとする会社というのは、その能力を十分に発揮できていない会社と言えます。

誰かと対立するというのは心地よいものではありませんし、人によっては苦痛なものでしょう。しかしもしビジネスの業績を改善するための誰でも使えるツールとして、論争ができる環境を整えれば、辛いものではなくなります。私のクライアントの中でも成功している企業では、マネージャーが部門間の問題を放置しておくことなど絶対ありませんし、その解決には前もって社内で合意してあるやり方を使っています。その中のある会社などでは、定期的に部門間の問題を解決するための会議を行い、そこではやはり前もって合意してあった規則とプロセスに則ったフレームワークが問題解決のために使われています。

では論争を行えるために会社が整えておくべきルールやプロセスにはどのようなものがあるのでしょうか。そのうち良く使われているもの6つとその理由を以下に挙げたいと思います。

  1. 他の部門との間に問題があれば、例えそれが解決不可能に見えても、まずその部門のマネージャーと話すべきである。殆どの人は論争など好みません。日本では論争を避けることが社交儀礼であるとさえ考えられています。同時に、日本人は一般的に他の国の人々に比べ、個人責任をより強く感じる傾向があると思います。論争をしなくてはならないという責任感は対立を嫌う傾向は正反対のもので、論争を行う助けとなります。マネージャーが問題を知っていたのにそれについて何もしなかったとなると、その理由が何だったかに関わらず、責任はマネージャーにあるといえます。
  2. マネージャーは、もし誰かから問題解決の為のミーティングをリクエストされたら、必ずそれに応じること。このルールがあればミーティングを拒否されるかもしれないといった不安は払拭されますし、もし立場が逆となった時の相手の気持ちを推し量ることができます。マネージャーも自分がリクエストする方の側となった場合に自分が対処されたいと思われるような方法で相手のリクエストに対応するでしょうから。
  3. 不一致や問題点は、それがどのようにビジネスや顧客に影響を与えるか、という視点から説明されなければならない。またそれについての解決法が提案される時も、単に社内の部署のためになる、という理由だけではなく、ビジネスや顧客のためになるかという観点から説明されるべきである。どのような時もまずビジネスと顧客のことを考えていれば、社内の悩みばかりに目を向ける代わりに外に目を向けられるようになります。ビジネス結果を念頭においた考え方をしていれば、自然と協力による解決法を模索するようになるのです。
  4. 対立を解決する際には、どちらの側にとっても有利な結果をもたらさねばならない。片側だけにとって有利な解決方法は、長期的な解決とはならないものだ。問題解決は勝者と敗者が存在するゲームのようなものではありません。対立状況から生み出される問題はどちらの側にとっても影響がある訳で、それを解決すれば、やはり両者にとっての利益となるのです。あるCEOは私に、共通の問題を解決するには「とにかくオープンに話し合わなければならない。」と、話してくれました。また別のCEOは、「相手と問題について議論する時には、相対してお互いを責めるのではなく、同じ側に立って話し合うことが大切だ。」と語っていました。
  5. 話し合いの際には、相手の行為によって自分や自分のスタッフがどのような影響を受けているかのみを説明すること。相手を責め立てることは絶対に止めましょう。大抵のマネージャーやスタッフは、同僚を責める必要がないのなら、そのようなことをしたくはないと思っているものです。人は責任を問われると、身構え、守りの姿勢に入ってしまう傾向がありますから、それは止めてください。
  6. 約束したことは書類に明記し、発表すること。周りにも知らせた約束事は守られることが多いが、個人間の口約束は破られる傾向がある。 これは研究でも証明されていることです。約束した内容を全員に知らせれば、マネージャーやスタッフが責任を持ってその内容を遂行する助けとなります。

上記も含めた論争が行える環境を整える際のルールの全てを知りたい方は、私に連絡していただければ送らせていただきます。

あなたの会社内で揉め事、政治的な論争、或いは縄張り争いのようなことが日常的に行われているようであれば、まず論争や揉め事の解決に対しての見方や態度を見直してみてください。きっと上に挙げた6つのルールが殆ど、もしくは全然導入されていないのではないかと思います。

会社内で揉め事、政治的な論争、或いは縄張り争いのようなことが日常的に行われているようであれば、まず論争や揉め事の解決に対しての社内での見方や態度を見直すこと。 Share on X

どのような状況にあるにせよ、論争できる環境を整え、マネージャーが問題を解決するための仕組みをあらかじめ作っておくことをお勧めします。ビジネスのリーダーであるあなただけがそれを実行することができ、また早めに行っておくことはあなたのためにもなります。私の経験から言うと、戦略的な成長やビジネス成功を自然に速く行うためにこれ程役に立つことはそうそうありません。あなたも成功を手に入れることが可能となるでしょう。

 

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