gender diversity

ジェンダー・ダイバーシティーについての洞察

日本以外の国のグローバル企業の大多数は、女性従業員の数、中でも特に管理職につく女性の数を増やすことを目標としています。日本では女性が軽くあしらわれる事がまだまだ多いですが、そんな日本でも同様な取り組みをするグローバル企業が増えてきました。私が知る最も成功している企業のリーダーの方々は、女性とはまったく関係のないことを正しく行うことで目的を達成し、その結果、ビジネスにとっても男性女性をふくむすべてのスタッフにとっても、良い結果が導かれました。

日本であっても国外であっても、ダイバーシティーが課題となっていてもいなくても、ビジネスリーダーの方々には以下のようなアドバイスをさせて頂きたいと思います。

Prioritize excellence, not diversity. The CEO of a major global European company in Japan, which sets targets for gender diversity like many other companies, insisted on hiring a woman for a senior vice president role. The internal candidates that were first proposed to him were all men, and they were not considered qualified. Yet if he had hired any of them for the role, no one in his organization would have complained. He sought the help of several of the large head-hunting firms in Tokyo, but each of their account managers said they would have to turn down the work unless the CEO was willing to compromise his standards in hiring a woman, or otherwise hire a man. No such qualified woman exists, or so they claimed.

しかしCEOは譲らず、求人内容のエクセレンスに妥協することを断固拒否しました。確かにそこで妥協して最初に推薦された人材から誰かを選んでいれば、すぐにこのポジションは埋まったでしょう。しかし彼はそれから約2ヶ月をかけて、自分が望んでいたレベルの人材を見つけたのです。彼女は実際、それまでに勧められた候補者の男性の殆どよりずっと仕事に向いていましたし、それどころかそれまでにその地位に就いた中でも最も優れた副社長のひとりとなったのです。候補者の門戸を広げ基準に妥協を許さなければ、その結果は素晴らしいものとなるのです

もしCEOが妥協をしたとしても、それに文句を言う人が出てくることはなかったでしょう。雇ったのが女性でさえあればそれでよし、と人事部などは捉えていたでしょうが、それだけではビジネス業績は下がっていたでしょう。ダイバーシティーが欠如しているビジネスではエクセレンスに対する妥協がなされているものですが、だからと言ってダイバーシティーが確保されているからといって、それが最優先されているところではエクセレンスが必ず存在するという訳ではありません。

エクセレンスが性別、性的指向、人種、宗教、国籍などといった特徴に制限を受けることは決してありません。そのような基準を人選に取り入れる企業は、どこかで素晴らしい人材を雇うチャンスを逃したり、あるいは面接さえし損なっているものです。

ダイバーシティーに欠ける企業には、エクセレンスに対する妥協が必ず見受けられます。ジェンダーに限らずどのような種類のダイバーシティーであっても、それ自体がゴールである訳ではなく、それはエクセレンスを重要視している企業に自然に生まれるものです。ダイバーシティーをメインのゴールに据えている企業は、焦点の当て方を間違っていると言えます。大切なのはエクセレンスを重要視することなのですから。

Improve working conditions for men first if you want to attract women employees. The most productive and effective managers in business I know, Japanese included, work the least. They work hard for sure, but they also have hobbies and interests outside of work. They go home at a timely hour. They routinely exercise and take care of themselves physically. They spend time with their families. They travel and explore the world during paid holidays, which they take without reservation. They spend time and their own money investing in their own education and professional development whether supported or encouraged by the company or not. They are interesting people.

逆に一番生産性が低く効率も悪いマネージャーは、いつも残業し、しょっちゅう同僚や顧客と飲みに出かけ、週末も仕事をし、子供が生まれた後でも家で大した時間を過ごさないような人たちです。

ある日本企業の役員の方は、彼の会社を女性にとって魅力的にする事がいかに困難かという話をした時に、その理由は社の勤労条件が結果的に彼の呼ぶ「ボーイズ・クラブ」を作り出してしまったから、というのを理由に挙げました。男女が結婚すると、例え女性が働いていても、子供の面倒を見る責任は大体女性に求めらる、と彼は続けました。そのせいで、女性が普段から残業したり、仲間や顧客と仕事帰りに飲みに出かけたり、週末のゴルフに参加したりすることは難しい、というのです。彼はまた、子供が生まれた時に男性は休みが1週間しか取れないのに対し、女性はもっと長い休暇が必要になるため、仕事の責任やキャリアの継続における不公平さが生まれるとも言いました。

そんな中、仕事上、女性のためにどのような例外を許せばいいのでしょう、と彼は問いかけました。そのようなものは必要ない、というのが私の答えです。

彼が羅列した勤労条件は確かに女性にとって魅力的なものではありませんし、同時に男性にとっても特に良い条件とは言えません。せいぜい男性は嫌々ながらやるだろうと思われるような内容です。

私の経験では、日本人も含めて大体の男性は夜遅くまで外で飲んだり、上司や顧客との週末のゴルフに付き合わされたり、単に残業をしたりするよりは、家で家族と時間を過ごすことを好みます。たまにそういうことをするのは問題ないのですが、それが仕事の一部として当たり前のこととなると、男性であろうが女性であろうが嬉しいものではありません。

ある外資系の会社の話ですが、そこのCEOは午後6時以降にミーティングを行うことを禁止しました。また残業も止めさせました。またある日本の企業では、男性社員も女性社員も家族ともっと時間が過ごせるようにと、夜遅くに顧客や同僚と飲みに行くことを止めるように推奨するようになりました。この会社では例え飲みに行った時でも、トップの役員達はお酒を飲みません。彼らが社員達が飲むのを止めることはありませんが、自分たちは飲まないことで、飲まなくても大丈夫だということを伝えているのです。

Japan has the most generous paternity leave in the world second only to South Korea. At least by law, men can take up to one year of paternity leave. It is just that most men don’t. When asked, most men say they would like to, but don’t want to put a burden on their colleagues.

At yet another Japanese company I know, the CEO imposed paternity leave for male staff, and made sure that managers not only supported paternity leave for male staff, but also that there was no retribution against men who took it!

あなたの会社でも生産性や効率を上げたいと思っていらっしゃいますか。また優秀な女性の人材にとって魅力的な会社になりたいと考えていますか。まずは男性にとってもより良い仕事環境を整えることから始めて下さい。ビジネスのリーダーであれば、勤労環境や仕事のやり方を変える事ができる筈なのですから。

Assume women have lots of options for employment, because the most talented always do! Talented, ambitious women, particularly those with international skills, often seek employment with non-Japanese firms who value them for their capabilities, whereas many Japanese women have viewed their opportunities in Japanese firms more limited. Women have been a tremendous underutilized source of talent for non-Japanese firms.

これは最近行われたエグゼクティブ会議でのことですが、そこで日本企業が女性の人材を自社に入れようと競争するようになると、外資系企業にも影響が出てくるのでは、という話題になりました。しかしこれは間違った見方です。日本にある日本企業も外資系企業にとってもこれは良いことなのです。外資系企業にとっては、これほどありがたいことはないでしょう。日本企業がどんどん女性の才能を重視するようになれば、より多くの女性が大きな期待と志を持って仕事に就くようになります。またその多くが自分への投資をすればそれを無視される代わりに見返りが期待できるということに気付き、さらに自分自身の勉強や能力の改善に努めるでしょう。そしてそれは企業にとってはプラスにしかなりません。

未だに日本では外資系企業のリーダーしか才能のある女性の価値に気付いていないと思ってはいらっしゃいませんか。それは自惚れです。私のクライアントである日本企業にも既に長年女性の才能を認め、人材を探す時にわざわざ女性に的を絞っている方々がいらっしゃいます。そして同様の日本企業の数は上昇する一方なのです。

女性の人材を惹きつけ、働き続けてもらうことの一番の利点は女性には限られたチャンスしかないから、と考えているビジネスリーダーは、傲慢であると言っても良いでしょう。女性でも男性でも、優秀な人材であれば、常にチャンスに恵まれているのです。そしてできる人材はまた、新しい仕事を見つけることに不安を抱いたりはしません。彼らは現在のポジションでは成長する機会が限られていると感じれば、臆することなく仕事を辞めてしまいます。次の仕事を探すことに不安を抱いて最後の最後まで今いる会社にしがみつこうとする社員というのは、凡庸な人材だけなのです。

ビジネスのリーダーが日本社会における変化をコントロールすることはできません。しかし、自分のビジネスの変革をコントロールすることは100パーセント可能です。将来起こるかもしれない社会の変化にも耐えられるようなビジネスにしたいのであれば、女性の人材への投資や昇進に力を入れましょう。彼女達には数々の素晴らしいオプションが与えられていると仮定するのです。例え現在はそのようなことはないと思われるかもしれませんが、そのうちそれは現実となります。その時が来れば、周りの企業は新しい現実についていくために右往左往するでしょうが、あなたの会社は既にその一歩先を行っている筈です。

私の経験では、人事部長たちはダイバーシティーとインクルージョンを、公平さや機会へのアクセス権といったモラル上のものとして捉える傾向があります。しかし戦略的ビジネスへの影響という面から捉えるには、彼らにはないレベルの洞察力が必要となります。

ダイバーシティーとインクルージョンといった課題からビジネス上の洞察力を取り除いてしまうと、そこに残るのはモラル上のものだけになります。そのような状況が起こるのは、何も人事だけに限ったことではありません。あなたが決断を下す時にも、モラルだけに基づいて行わないように気をつけて下さい。常にビジネス上の洞察力を駆使して正しいことを行えば、格段に素晴らしい結果が生まれる筈です。

常にビジネス上の洞察力を駆使して正しいことを行っていれば、素晴らしい結果が出せるものである。 Share on X

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