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あなたの組織開発の取り組み方は間違っていませんか

ビジネスパフォーマンスを強化し、事業を迅速に拡大することをお望みですか。以下に挙げた私からの5つのアドバイスは、日本やそれ以外の国の企業での通常のやり方とはまるで異なることの多いものです。ご参考になさってください。

1. 従業員エンゲージメント調査などを重要視しないこと。代わりに自分で現場を見て回るべきである。

エンゲージメント調査の結果など気に留めてはなりませんし、いっそのことあなたの権限で止められるものであれば、最初からそのような調査をする必要もありません。とにかく現場を歩き回り、観察し、働く人々と会話をすることでエンゲージメント度を理解してください。私の周りの素晴らしいリーダーの方々でも、社員のエンゲージメントレベルを知るためにエンゲージメント調査などを必要としている人はいません。

従業員エンゲージメント調査など混乱を招くだけです。どれだけ時間やエネルギー、費用を費やしたエンゲージメント調査でも、その結果に基づいてビジネスパフォーマンスを上げることができたという企業など、私は知りません。エンゲージメント調査というものは、専門的な知識や判断力がなくても、人事が自動的に使えるツールとして作られたものです。うわべだけを見ると厳密な科学に基づいて推定されたようには見えますが。(実は本当に科学的に実証されているエンゲージメント調査など一つもない、ということを私は知っています。)

エンゲージメント調査の返答内容から導き出された結論は、誤っていることが本当に多く、それには理由があります。

エンゲージメント調査に於いては、全ての回答が公平に扱われます。ですからその結果が、あなたが何を言っても何を行ってもエンゲージメントを得られないような凡庸な社員のせいで捻じ曲げられてしまうのは仕方ないのです。特に重視しなければならないのはあなたのビジネスが確保したい優秀な社員のエンゲージメント度なのですから、こういった社員からの回答にはより大きなウエイトを持たせるべきなのですが。しかしそこまで考慮されてデザインされたエンゲージメント調査には、これまで出会ったことがありません。

エンゲージメント調査の結果が悪かったからと言って、それが問題であるとは限りません。ビジネスパフォーマンスや態度の一時的な悪化は、戦略的な変革が行われるときに典型的に起こるものです。そしてその変革が進んで成功するのに伴って、パフォーマンスも態度も以前よりずっと良くなることがよくあります。

ヨーロッパの某グローバル企業の日本支社のCEOの話です。彼は切実に必要とされていた戦略的変革を実行していたのですが、本社人事の要請により、その変革の最中にエンゲージメント調査が行われたのだそうです。調査の結果は前年に比べガタ落ちでした。そしてそのせいで本社人事の規定により、彼のボーナスは減給となったのです。エンゲージメント調査の結果に基づいて減給を行うなど、全くもってひどい話です。

彼が実行した変革は最終的に成功しました。次の年にはビジネスの業績は飛躍的に向上し、社員のエンゲージメント度もまた跳ね上がりました。。(わざわざエンゲージメント調査をするまでもなく、このことは誰の目にも明白でした。)これは予想されていたことです。個人個人の仕事の成果が出せるように社員をエンパワメントすること以外では、ビジネスが成功する事ほど社員のやる気を高めるものはないのですから。それでもCEOはすでにダメージを負わされました。彼は自分のやるべき仕事をしっかりやって成功させたのに、罰を受けたのです。

同様に、エンゲージメント調査から良い結果が戻ってきても、それが良いこととは限りませんし、ビジネスが抱える深刻な問題を隠してしまっていることさえ多くあります。私も、慢性的に十分な業績を出せないような企業で行われたエンゲージメント調査が、常に素晴らしい結果を得られるのを目にしたことが何度かあります。私のクライアントであるイタリア人のCEOは、業績の悪い会社の社員がそのような会社に満足感を抱いている状況を、イタリア語で” isola felice”と呼んでいます。日本語で、「幸せの島」思考という意味です。

2. リーダーシップ能力はコーチングで教えられるものであり、訓練されるものではない。

動物は訓練しますが、人は教育します。そしてこの二つには違いがあります。周りの素晴らしいビジネスリーダーの方々にどうやってリーダーシップを学んだのか尋ねてみると、誰一人としてリーダーシップトレーニングのコースのおかげだ、とは答えません。彼らは全員、メンターとなってくれたり、模範とした尊敬する上司のことを口にします。

リーダーシップトレーニングはうまく行きません。パフォーマンスの向上を加速化し、社内全てのレベルで十分な次世代リーダーが育っている状態にしたいのであれば、中間〜上級レベルのマネージャー全員が直属部下にコーチングができ、またそうすることが彼らの職務の一部であるようにしておくことです。

コーチングを受ける側は、例え部下が一人しかいないような社員であっても、とにかくリーダーシップの役割を果たしている人でなければなりません。セオリーもセミナーもケーススタディーも必要ありません。ビジネスで現実に起きる案件にすぐに対処することで、学びが生まれるのです。コーチングのために別途時間を割く必要も全くありません。コーチングは仕事時間の一部です。コーチングが目の前の実際のビジネスの場面で行われることで、成長が加速されます。

自分の部下をコーチングする。社内でメンター・コーチを任命する。優秀なエキスパートを外部から雇って、マネージャーにコーチングのやり方を指導してもらう。またはこれら全てを行う。実践方法は色々あります。

3. 営業能力はコーチングで教えられるものであり、訓練されるものではない。

営業能力は訓練すればつく物ではありません。コーチングは必須であり、営業スタッフへのコーチングを行うのに最適な人材は、営業マネージャーです。優秀な営業マネージャーだけができ、また、すべきことをしてもらうために、営業トレーナーを雇ったりしてはいけません。営業コーチングは、営業マネージャーの仕事であることを明確にしましょう。

上記のリーダーシップ能力の向上と同じで、営業能力を素早く伸ばすには、ビジネスの現場で直接学ぶのが一番です。ある企業では、営業マネージャーがスタッフに交代で顧客に電話をさせ、その間、他のスタッフにはその様子を観察させます。そして電話が終わると全員でよかった点、悪かった点、改善点を話し合います。

また別の会社では、業績が最悪だった営業チームのマネージャーが、予定されている顧客や見込み客とのミーティングに先立ち、ロールプレイとリハーサルを毎週行うことにしました。そしてこのチームは一年も経たない間に、会社でもトップの業績を上げるようになったのです。

本当に営業に長けている人であれば、すでに営業職についているか(あなたの会社の現在の営業マネージャーやスタッフを含め)、自分でビジネスを経営しています。

自分自身の営業、マーケティング能力が欠けているために、トレーニングを提供する会社に大した事のない給料で雇ってもらう代わりに、彼らに自分のサービスのマーケティングと営業を任せている「セールス・トレーナー」も実在します。自分の会社の営業スタッフやマネージャーより少ない給料で働いているのであろうそのようなトレーナーに営業トレーニングを依頼する会社が多いというのは、なんとも皮肉なことだと思われませんか。

そのような「トレーナー」に、自分の会社が何億ドルとはいかなくとも、せめて何百万ドル以上業績を伸ばすために自社の社員の教育を委ねるのはどう考えてもおかしな事です。

ある会社のCEOにかなり高額のお仕事を任された時のことですが、その会社の人事部長が皮肉を込めて、「うちの社のコーチとして認められるような、どのような資格をお持ちなのですか。」と聞いてきました。

「私は御社のCEOに私のサービスを買っていただくことに成功しましたよね。」と私は答え、さらにこう続けました。「御社の営業スタッフでこのような営業業績を出している人は何人くらいいらっしゃるのですか。」これを聞いた人事部長は黙って立ち去りました。

営業マネージャー全員がコーチングができること、そして実際に定期的に部下の営業スタッフをコーチングするよう、徹底して下さい。

そして外部の専門家にお願いして、営業マネージャーに自分のチームにコーチングを行うやり方をコーチングしてもらうことで、社内のコーチング能力を補いましょう。これは人事に頼むべきではありません。この専門家はご自分で探し、賢い選択を行って下さい。

4. 優秀な人材に入ってもらい、またずっと働いてもらいたいのであれば、凡庸な社員は解雇せねばならない。

優秀な人材は、優秀な人々に惹きつけられ、そういった人々と仕事をしたがるものです。ある日本人副社長の話ですが、彼女は新しい部門を任されるや否や、彼女が優秀と考える基準に満たない社員を解雇し、その数は部門全体の4分の3にまで及びました。そしてその途端、社内の他部門にいた優秀な社員達が彼女の部門への移動を希望してきたのです。彼女が解雇を実行した際、人事部は当時の雇用市場を鑑みると優れた人材を見つけることは不可能だと言っていましたが、実際には、外部からの人材を募集、採用することにも何ら問題はありませんでした。

東京で働くある駐在員の方からは、彼の会社の人材募集についての愚痴を聞かされたことがあります。彼が言うには、「グーグルやアップル」のように本当に優秀な人材だけを募集するようなことは彼の会社では到底できないので、誰かにきてもらいたいのであれば、雇用基準を下げるしかないとのことでした。

そこで私が彼に言ったのっは、グーグルもアップルも、かつて雇用基準を下げることで今のような大企業に成長したわけではない、ということです。

優秀な人材のみを雇い、留め置き、昇進させましょう。同時にできない社員は怯むことなく解雇するのです。

5. 企業文化はあなたが創り出すもの。それは世界中どこの国でも同じことである。

日本に来たばかりの駐在員CEOにコーチングを依頼されたことがあります。その内容は、自分のリーダーシップスタイルを日本の企業文化に合うように変えたいので、それを手伝って欲しいというものでした。しかし彼女は当時の日本支社の企業文化はビジネスのためになるとは言えないことも知っていました。

私が彼女に言ったのは、「本当に成功しているCEOの皆さんは、逆に会社の文化を自分のリーダーシップスタイルに合うように変えていますよ。その逆ではありません。あなたもそうするべきだと思います。」ということ。そして彼女は私のアドバイスを受け容れてくれました。

企業文化を作るのはリーダーであり、国ではありません。あなたのビジネスにおいてはあなたが求める文化を作れば良いのです。ちゃんとしたやり方で実行すれば、それが以下に社外の文化と異なったものであっても大丈夫です。

世界中どこでも、大成功を収めている企業を見れば、その企業文化が一般に言う文化的規範に逆らっていることがわかるでしょう。米国におけるアップルもそうですし、日本であれば楽天市場の例を見れば歴然です。

周りの文化に適応する必要などありません。文化的感受性と理解は、その文化に適応するためのものではなく、文化を変えるツールとして使いましょう。あなたのビジネスも素晴らしいアウトライヤーになれば良いのです。

あなたもビジネスリーダーの方々へのアドバイスがあれば、ぜひお聞かせください。

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1件のフィードバック

  1. “Walk the floor instead” – excellent point, and it reminds me of a conversation I had with a leader last year. He had this philosophy, “Leadership by loitering” and you could tell that it worked for him (his level of influence, strong relationships, feeling what was going on in the workplace).

    No more employee engagement surveys, please! Oh, and I’ve seen a new KPI emerge in the last few months: # of posts on social media / intranet (Yammer channels). Insane.

jaJapanese