「Conversation with 岡村雄嗣氏(タカミ創業者、ロレアルジャパンCEOエグゼクティブアドバイザー)」から学んだこと

2023年11月6日、私は在日米国商工会およびフランス商工会の主催で行われた、タカミ創業者かつ、日本ロレアルのジャン=ピエール・シャリトンCEOのエグゼクティブ・アドバイザーである岡村雄嗣氏と壇上で対談する機会に恵まれました。

タカミは1999年に設立された日本のスキンケア製品会社で、定期購入モデルを用いてオンラインで消費者に直接販売するというオムニチャネル・アプローチを使い、日本の大手スキンケア市場と業界を激震させることに成功しました。小売業の成功は百貨店や卸売業者の流通に依存するという従来の常識を覆し、2019年までに売上を6000万ドル以上に成長させたのです。2020年に始まったコロナ禍でも、既存の競合他社はマイナス成長か、最悪赤字となっている中、タカミのビジネスの成長は止まることはありませんでした。

2021年、フランスの化粧品・スキンケア大手ロレアルはタカミを買収し、そのブランドはロレアル・ラックス部門内にグローバルに位置づけられました。日本におけるタカミのビジネスは、消費者への直接販売というルーツに忠実なまま、百貨店経由の流通を避け、現在も成長を続けています。

タカミと岡村雄嗣氏については、拙著『破壊戦略のリーダーシップ: 最高の人材、最高の顧客、急速なビジネス成長を手にするために』の中でも触れています。今回の対談から私が得た8つの学びと、会場からの質問に対する岡村氏の回答を下記に記しましたので、ご参考になれば幸いです。

  1. 破壊戦略とは、顧客にとって正しいことをすること、そして価値を創造することである。この2つを常に頭に置いておくこと。
  2. 破壊的戦略を追求するとき、決して人々を怒らせることを気にしてはならない。市場を破壊するのは当然の結果だ。気に入らないかもしれないが、それを気にしたり止めたりしてはいけない。自分が顧客に対して正しいことをしていると信じているなら、他人がどう思うかは問題ではない。
  3. 競合他社があなたの破壊的戦略を真似ることを心配する必要はない。彼らは決して成功しないのだから。最も重要なのは、あなたのビジネスの "Why "であり、"What "ではない。競合他社はあなたの 「何」を 真似ようとするかもしれないが、本当に重要なのは 「なぜ 」なのだ。
  4. 起業家として、大企業に溶け込む際の最大の難関のひとつは、時に恣意的に見える確立されたルールや官僚的なプロセスだ。起業家は、大企業にはできないような方法で、その時々の実際的なニーズに基づいて、その場でプロセスを変更することができる。このような行動こそが、起業家的ビジネスを成功させる要因の一部なのだ。大企業にはそのような柔軟性はないかもしれない。しかし、その標準化されたプロセスが、大規模な成長を可能にしているのだ。
  5. 顧客との生涯にわたる関係に基づいてビジネスを成長させるという考え方は、ビジネスモデルがその考え方を実践している限り、どのような市場や業界においても非常に破壊的である。多くの企業は、マーケティング部門やPR部門を持ち、そのような考えをリップサービスする。しかし、成功するのは、顧客との生涯にわたる信頼関係を真に創造するブランドである。
  6. 一般的に対立する業界モデルやアクターを統合するビジネス戦略は、本質的に破壊的である。タカミの場合、これらのモデルは皮膚科クリニックと化粧品であった。
  7. 自分のビジネスを他人に定義させてはならない。他人に向けて自分で自分のビジネスを定義するのだ。ほとんどの日本企業がタカミを "消費者直販 "企業と見なしていたのに対し、ロレアルはタカミをラグジュアリーブランドと見なしていた。故にこの買収は関係者にとって意味のあるものとなり、成功したのである。
  8. 組織において、破壊はチームスポーツである。
 

Join the Discussion

jaJapanese