5年戦略などには意味がない

20年に渡る戦略計画などということを耳にすることがありますが、20年どころか、5年、あるいは3年に渡る戦略を持っている人など、誰もいません。

ブラックベリーが5年の戦略を持っていたとしましょう。そんな中アップルがiPhoneを発表すれば、その戦略はすっかり意味のないものになってしまいます。ビジネス環境は本当に予想がつかないものですから、6ヶ月以上に渡る戦略プランは大体役に立ちませんし、6ヶ月でも長すぎるかもしれません。

戦略は、その基となる仮定事項が明記されていなければあまり意味がありません。たとえば電信通話プロバイダの戦略であれば、テクノロジーや通信のオプション、ビジネスが必要としているもの、消費者行動などといったことに関した仮定に基づくべきで、そのどれを取っても、5年以内にすっかり様変わりをしている可能性が高いと言えます。ですからマネージャーがこの先3年間の単なるアクションリストではなく、本当の戦略という意味で「3年戦略」という言葉を使った場合、それはその3年間に渡るビジネス環境についてのかなりの仮定に基づいた戦略を意味している、というのが普通でしょう。そしてそれらの仮定のうちのどれかが仮定通りにならなければ、戦略プランは使えなくなる、ということになります。戦略プランが長期に渡れば渡るほど、ビジネスに関して立てた大きな仮定事項がその通りにならない可能性はかなり高くなっていくと言えます。

私が読ませて頂く戦略関連の書類にそういった仮定事項が含まれていることは滅多になく、そのことについて質問しても、何のことについて聞かれているのかわからない、といった反応をする方が多くいらっしゃいます。代わりに彼らは自分の戦略の正当性や具体的な策のリストを述べてくれます。しかし本当に大切なのは、戦略の正当化ではなく、その戦略が間違っているかもしれない理由を羅列することです。本当にしっかりした戦略には、その基となっている仮定事項についてちゃんと明らかにしており、もし仮定通りにならなかった場合の代わりの対応策についても明記してあります。

例えば消費者向けの保険会社の戦略であれば、現存する強豪相手がずっと市場を牛耳っていくという仮定に基づいているかもしれません。しかしある日突然グーグルのような巨大企業が保険業界に参入してくるとどうなるでしょうか。代替プランはどのようなものになるでしょうか。グーグルが保険業を始めることなどないかもしれませんが、彼らの持つ巨大なデータと資金力を考えれば、絶対起こらないとも言えません。グーグルの誰かがそのようなことを考えたことがある筈と考えても、妥当でしょう。

戦略とは創造するものであり、ビジネスの未来を乖離するものではありません。それにも関わらず、マネージャー達が戦略開発会議に膨大なデータを持ち込み、過去の数値から将来を予想しようとする、まるで占いのようなことをする姿を、私もしょっ中目の当たりにします。そのようなことをする時間があるのなら、今までになかったようなことが起こったらどうなるかとか、もし本当にそれが起こったらどのように対応すれば良いかとか、そのようなリスクが起こり始めたらそれをできるだけ早く察知するように、どのように環境の監視を行えばよいかといったことを検討する方がずっと良いと思います。

あなたの会社に5年戦略とか、ある期間に渡る戦略があるのなら、重役チームと一緒にそれを見直してみよう。 Share on X

それは本当に5年戦略ですか。それとも実は5年間のアクションプランではありませんか。

仮定が明確なものであろうがなかろうが、戦略の基となっている仮定についてよく考えてみてください。もしその仮定通りにならなかった場合、どうしますか。それらの仮定は誰が、どのようにモニターしているのですか。もし仮定が間違っていたとなれば、誰がそれを皆に知らせてくれるのですか。

最も脆い戦略は、将来への道を説くようなものです。逆に一番しっかりした戦略は、その選んだ道が間違っているかもしれない理由を率直に述べているものです。計画書にリストアップされた予定通りのアクションを行うことはどのマネージャーでもできることです。しかし前に続いていると思っていた道が何か別のものに変わってしまった時にもビジネスを動かし続けることができるのは優秀なマネージャーだけです。

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