大胆さを育成する方法

現在のビジネス環境に最も足りないものは、才能でも金銭でも技術能力でもありません。それは自主的な考え方と、それを行動に移す勇気です。

私のクライアントであるある企業では、最近新しい役員を雇いました。彼は聡明で、会社の規律に沿っていないものや、戦略・パフォーマンス戦略に使われているやり方の非効率的なものをしっかり見つけたり、部長が部下のマネージャー達に決定事項を遵守する責任を負わせ損ねたりした時にそれに気付くこともできます。彼はそういった問題点を提起することが自分の仕事であり、またそのやり方も知っています。ところが他の役員達との間に問題を起こすことが怖いばかりに、それを行なっていませんでした。CEOに問題点の報告をする良いタイミングも見つけられないままだったので、 CEOもそのような問題があることは知らされていませんでした。能力や才能が備わっているにも関わらず、このような人が仕事を効率的に行えるわけもなく、そのことこそが会社にとっての大きな問題だったのです。彼の果たすべき役割はビジネスが上手く行くようにするだけではなく、深刻な失敗を防ぐための最後の砦となることなのですから。

このような気の弱い態度は、終身雇用制や年功序列制といったシステムから生まれることがよくあります。(それは会社のポリシーに含まれていることもあれば、暗黙に了解されているものであったりもします。)このようなシステムはよく見られるもので、日本特有のものというわけではありません。仕事で素晴らしい結果を出しても特に個人にその報酬があるわけではないのに、失敗すればその報いを受けるかもしれないようなリスクがある環境では、受動的な態度が蔓延してしまうのは、自然なことです。

自分が率いる企業内で受動的な態度が蔓延していませんか。諦めることはありません。あなたはリーダーとしてマネージャー達が行動を起こす勇気を養ってあげることができるのですから。無理なように見えても、正しいやり方でやればそれは可能なのです。 Share on X

私の経験では、これまでにビジネスの改革や、行動を起こす勇気を育て上げることに成功したリーダーの方々の社員に対する態度には、4つの共通点が見られます。

1. 堂々と成功することと同じく、失敗しても焦らないことを教える。 成功への道のりの途中には、必ず失敗も経験します。失敗を全部避けようとする人というのは、学びも避けようという人です。マネージャーが成功し、勇気を持って行動することの手助けをしたいのであれば、失敗した時にそこからいかに立ち直るかを教えてあげてください。勇気のある人は、成功が永遠に続くものではないこと、そして失敗が致命的であることなど滅多にないということを理解しています。そういった考え方ができないのは、行動に移すことを避ける人たちだけです。

2. アドバイスは惜しみなく与えるが、許可はなかなか与えず、アドバイスと許可の違いを認識している。 アドバイスを求めるマネージャーの中には、実は許可を求めている人がいます。マネージャーが、「この結果があまり出ていないアカウントのスタッフを減し、彼らをトップクラスの顧客の方に回した方がいいと思いますか。」と聞いてきたとしたら、彼は実は自分のリクエストを許可してもらおうとしているのです。そしてもしそれが上手く行かなければ、マネージャーは単にあなたのアドバイスに従っただけ、という言い訳が使えるわけです。このようなマネージャーは、あなたから明らかな許可を得なければ滅多に行動を起こすことはなく、いつもあなたの指示待ちをしているかもしれません。さて、もしマネージャーが、「私はこの結果があまり出ていないアカウントのスタッフを減し、彼らをトップクラスの顧客の方に回すことに決めました。あなたの経験では、ダメージが起こる可能性を最小限にすると共に、限られたスタッフでできることを最大限にするには、どのようにすれば良いと思われますか。」と聞いてきたとしましょう。このマネージャーはアドバイスを求めています。アドバイスに従うかどうかは常に選択してもらえるようにしなければなりません。本当に勇気のある人は、精選された情報に基づいて自分で決断を下し、その決断の結果を受け容れるものです。

3. そこからの学びがある限りは、失敗を許容する。 良いと思われるアイディアの殆どは、結局うまくいきません。ほんの一握りだけが成功するのです。あるアメリカの企業であった話ですが、そこのCEOがある時、自分が責任者であった新製品のキャンペーンに失敗し、会社に1億ドル以上の損失を与えてしまったマネージャーを、自分のオフィスに来るよう呼びました。このマネージャーは席に着くなり、用意してあった辞表をCEOに手渡しました。驚いたCEOはこのように言いました。「私が君をクビにするわけはないだろう。私は君に学んでもらうために1億ドルも投資したんだよ。さあ、この失敗から学んだこと、変えるべきこと、次のアクションプランについて話し合おう。」

4. マネージャーの行動に責任を持たせる。 失敗がないことが成功の代わりになるわけではありません。ヨーロッパベースの有名なグローバル企業の日本支社CEOの話ですが、彼は役員や中間レベルのマネージャーの消極さにイライラさせられていました。ある日彼はマネージャー達を部屋に招集し、「社のために何かをトライしてそれが結局うまく行かなくても、そのせいで私が君たちを責めることは決してない。でも、君たちが何の行動も起こさないでいれば、遠慮なく誰でも解雇させてもらいます。」と宣言しました。そして後日、彼は本当に解雇を行なったのです。解雇されたマネージャー達にも、残ったマネージャーの中にも完璧と言える人はいませんでしたが、それぞれがちゃんと決断力を持って行動するようになりました。これこそが大切で、それはどのような時でも完璧さより重要なことなのです。

比較的最近のこと、ヨーロッパの会社の日本支社CEOと話す機会がありました。私も彼もアメリカ人ですが、彼は日本人マネージャーがアメリカ人に比べて大変消極的であることを嘆いていました。どれほど彼が努力しても、シニアスタッフが自分から行動を起こしてくれず、いつも彼からの明確な指示を待っているというのです。彼は私に手助けをして欲しいと言いました。ところがその後、ビジネス改革について話し合い始めたところ、彼は躊躇う様子を見せました。彼はそういった改革のために予算を充てる権限を持たされているにも関わらず、それを実行すれば本社の上司に却下されるかもしれないと恐れており、改革のアイディアを上司に持ちかけることにさえ尻込みをしていたのです。私は、自分が上司と話し合う勇気も持てないのに、自分の部下に同様の勇気を持ってもらいたいと考えるのは非現実的ですよ、と言いました。

自分の企業で行動を起こす勇気を育成することに成功しているリーダー達には、もうひとつ、共通点が見られます。本当に基本的なことなので上記リストには加えませんでしたが、それは、周りに期待するだけでなく、まず自分から、勇気を持って行動に移す、ということを実行するということです。

私はクライアントの中でも素晴らしい成功を収めている方々を見ていて、そのしっかりした戦略の中に5つの共通点があることに気が付きました。

もしその共通点に興味があり、またあなたご自身の会社の位置づけを知りたいとお考えでしたら、メールでご連絡頂ければ無料のpdfをお送りいたします。

Join the Discussion

jaJapanese